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特産品、黒糖。

黒糖を全力で調べた。
沖縄の特産品、黒糖。サトウキビを原料に県内各地で製造が行われ、健康食品としての注目度も高くメディアでもたびたび取り上げられています。
産地によっても風味が変わり、その違いを楽しむ方も多くいらっしゃいます。
黒糖の製糖方法が確立されたのは1623年。琉球芋(さつまいも)の栽培を日本に広めたことでも知られる儀間真常によるもの。当時は外貨を稼ぐ重要な輸出品として取引され、400年経った今も多くの人に親しまれている食品です。
今回は沖縄で生産される黒糖についてスポットを当て、とことん調べていきたいと思います。
――― この記事の内容 ――― ●白砂糖との違い
●黒糖が良いと言われる理由
●紛らわしいけど違うもの
●製造方法・黒糖が出来るまで
●産地による風味の違い
●正しい英訳は?
●白砂糖との違い
●黒糖が良いと言われる理由
●紛らわしいけど違うもの
●製造方法・黒糖が出来るまで
●産地による風味の違い
●正しい英訳は?
白砂糖との違い
砂糖と名の付くものは「分蜜糖」と「含蜜糖」、大きく2つに分けることが出来ます。
@分蜜糖
様々な成分を分離して白いショ糖だけを精製したもの。上白糖、三温糖、グラニュー糖などがこれにあたり、クセの少ない甘みが特徴的です。
一般的に使われる白い砂糖を想像するとわかりやすいと思います。
@含蜜糖
含蜜糖はミネラルを多く含む糖蜜を、分離せずにそのまま凝縮したもの。
黒糖や加工黒糖など、コクのある甘さが特徴です。
@成分の違いを見てみよう
言葉で言ってもピンと来ない方、下の表をご覧ください。文部科学省の日本食品標準成分表より引用したデータですが、数値を比較するだけでも違いがお分かりいただけると思います。
上白糖(分蜜糖) | 黒糖(含蜜糖) | ||
エネルギー | kcal | 384 | 356 |
タンパク質 | g | 0 | 0.7 |
脂質 | g | 0 | Tr |
炭水化物 | g | 99.3 | 90.3 |
ナトリウム | mg | 1 | 27 |
カリウム | mg | 2 | 1100 |
カルシウム | mg | 1 | 240 |
マグネシウム | mg | Tr | 31 |
鉄 | mg | Tr | 4.7 |
亜鉛 | mg | 0 | 0.5 |
※100gあたり
ご覧の通り成分が異なっていて、ミネラルなど雑味を取り除いてて使いやすくした分蜜糖(上白糖)と、成分そのままに凝縮した含蜜糖(黒糖)ではっきりと違いが見て取れます。
どちらも用途によって使い分けると良いと思いますが、今回は黒糖を使うメリットについても見ていきましょう。
黒糖が良いと言われる理由
むくみの改善・血圧抑制
黒糖に最も多く含まれるカリウム。カリウムには取り過ぎた塩分の排出を促す作用があり、血圧を下げる効果やむくみの改善が期待できます。
丈夫な体づくり
カルシウムは骨や歯を作る主な成分というのは有名な話。それ以外にも神経の興奮を抑える作用、血液を整える作用があり、体の見た目だけではなく内側にも作用していきます。
効率良いエネルギー源
脳や神経の働きを整えるビタミンB1、糖質・脂質の代謝を促進するビタミンB2、タンパク質の代謝を促進するビタミンB6. それぞれの働きによって黒糖の栄養素をエネルギーに変え、効率よく体調を整えるのです。生活習慣病にもやさしいと言われるのはこのような理由があるのですね。
紛らわしいけど違うもの
これまでは純黒糖についてのお話でしたが、中にはちょっとややこしいものもあるのです。
消費者庁によると、サトウキビを絞ってそのままに詰めたいわゆる純黒糖の事を、「黒糖」または「黒砂糖」と表記しても良いとのこと。それ以外の表記については純黒糖とは呼べないものになります。
例えば、加工黒糖と表記のあるものは黒糖に白砂糖の原料や糖蜜で加工したもの。また、黒糖にミントやしょうがを加えたものもあり、これらも加工黒糖と表記されます。
そして、加工糖と表示されているもの。これに関しては粗糖や糖蜜などを混ぜ合わせたもので、黒糖は一切入っていません。
黒糖が出来るまで

黒糖の製造過程を言葉で伝えるのはとても短いですが、一般的に年単位の時間がかかる大変な作業を伴います。
サトウキビは気温が下がると成長速度が遅くなり糖分が増加します。収穫は主に12月から翌年春にかけて行われ、品質を保つために出来るだけ早く製糖工場へと運ばれます。
製糖工場では収穫されたサトウキビを搾り、搾り汁を煮詰めることで黒糖が出来上がります。当然、途中の行程で濾過や滅菌といった作業も行われ徹底した品質管理が行われています。
因みに、黒糖以外にも白砂糖を作る元になる粗糖も作っていて、分離機を用いて糖蜜を取り除くことで生産しています。
産地による違い

県内各地で生産されている黒糖ですが、地域や生産年によって風味も変わってくるのです。
海の潮風の影響を強く受けてたくましく育ったサトウキビから作られる黒糖は、塩気や苦みが比較的強く出ていて、そのまま食べるより料理の隠し味として使うのが向いていたり。→波照間島産黒糖
逆にあまり影響を受けずに優しい土地で育ったサトウキビから作られる黒糖は、その甘さが素直に表現されていて、クセの少ない舌触りになっていたりします。→多良間島産黒糖
また、製造する年によっても風味が変わってくるのだとか。舌に自信のある方、試してみてください!
正しい英訳は??

最後に、海外でも黒糖は人気があって、純黒糖かどうか気にされるお客さまも多くいらっしゃいます。
当然日本語では通じない為、その国々にあった表現でお伝えするわけですが、一般的に黒糖は「Brown Sugar」と訳されます。
ただ、Brown Sugar としたとき、黒糖と訳されることもあれば、三温糖のような分蜜糖を含めた色のついた砂糖として認識されることもあるそう。
ではどうすれば?
と調べていくと、厳密に純黒糖を表現するにはMuscovado という単語が最も一致するとのこと。ただ一般的な使い方でも内容で、第2の表現として Raw Sugar と訳する方法があるようです。Rawというと“生”という意味がありますが、他にも“精製していない”、“原料のままの”という意味があり、純黒糖の意を正確に伝えるにはこちらの方が向いているのではないかという説。
英語圏の表現に詳しくないので何とも言えないところですが、Brown だと正確に伝わらない場合があるようです。