不発弾とは?沖縄に眠る不発弾。過去には爆発事故も発生

沖縄の不発弾事情

沖縄の不発弾事情

沖縄では毎年500件の不発弾処理が行われる

沖縄では日常的に耳にする不発弾の情報。

近年では空港での爆発事故や住宅地で不発弾が発見されるなど、沖縄県外でも注目を集めることが増えているように感じます。

毎年約500件の不発弾処理が行われている沖縄では、過去に爆発事故により命を落とす事例も多数発生しており、危険性の高いものに関しては住民の避難を伴うほか、周辺地域が立ち入り禁止となることもあります。

現在は着工前に事前調査が徹底されるなど、現在不発弾に関する事故はほぼ聞かなくなってきました。

ここでは不発弾の危険性と、沖縄県の現状をまとめます。

不発弾とは

不発弾処理の様子(那覇市歴史博物館所蔵)

那覇市歴史博物館所蔵

戦時中に使用したが不発となったもの

そもそも不発弾とは何か。

沖縄県では「戦争などで使用された爆弾・砲弾などで、地上に落下したが爆発せず、不発となったもの」と記しています。

そして「このような不発弾はすでに安全装置等が解除されており、少しの振動でも爆発する危険性があります。」とも追記されています。

つまり戦時中に使用したが爆発せず、いつ爆発してもおかしくない状態のもの

不発弾を発見した場合は触れずに警察へ、海上の場合は海上保安部へ通報してください。

過去の事故

聖マタイ学園爆発事故(那覇市歴史博物館所蔵)

戦後700名以上の犠牲者

沖縄では戦後700人を超える方が不発弾に関係する事故で亡くなっています

不発弾事故で今でもよく報道されるのが、1974年に起きた幼稚園での爆発事故。

那覇市小禄の下水道工事現場で不発弾が爆発。園児を含む4人が亡くなり、重軽傷者34人。家屋被害80戸、車両被害41台と記録されています。

記憶に新しいものだと、2009年に糸満市の工事現場で掘削作業中に250kg爆弾が爆発し、作業員が右目の視力を失うなど重傷を負うという事故がありました。

近所の特別養護老人ホームでは100枚以上の窓ガラスが割れ、戦争を思い出したという沖縄戦体験者もいたといいます。

これまでに発見された数

不発弾処理(件数・発数・重量)

沖縄戦で使用された弾薬は20万トンとみられ、そのうち5%にあたる1万トンが不発弾として残されたと推定されています。

戦後、日本に編入される1972年までに約5,500トンが住民や米軍によって処理され、編入後は2022年度までに2,121.7トン(1,737,736発・39,948件)が処理されてきました。

不発弾のうち500トンが永久不明弾とされ、現在でも残りの1,878トンが埋没していると推定されています。

※発見された不発弾の内訳は陸上で1861.3トン、海上で260.4トンと公表されています。

市町村別届出件数

市町村別にみると、激戦地となった那覇市とその周辺市町村、糸満市での発見が特に多くなっていることがわかります。

また、開発が進む地域での発見も相次ぎ、近年では新石垣空港での建築現場の不発弾が問題に取り上げられることもありました。

不発弾が発見されると建設現場の作業が止まってしまうほか、避難を伴う場合は病院や工場が止まったりと、物流・医療・観光など様々な分野へ影響を及ぼしてしまいます。

弾種別届出件数

2019年 陸上自衛隊による処理実績

爆弾の届け出件数が最も多く、7割を超えています。

沖縄でも大規模な空襲があったこと、艦砲射撃による着弾が多かったこと、地上戦による砲弾の使用が多かったことなど、様々な要因が考えられます。

全国との比較

日本全体でも不発弾は発見され続けており、決して沖縄だけの問題ではありません。

しかし、割合で見ると約4割が沖縄で発見されたものであり、その多さがわかります。

沖縄県の対策

沖縄県庁・沖縄県議会

事前調査の徹底

糸満市での不発弾爆発事故を契機に『沖縄県不発弾等対策安全基金条例』が制定され、公共工事の際の事前調査の義務化、データベースの構築、ライナープレートの無償貸出、磁気探査研修と次々と対策が講じられてきました。

また、県の事業として将来開発の可能性がある土地を、県の費用負担で磁気探査を行う『広域探査発掘加速化事業』、住宅やホテル、施設の建築の際に行う磁気探査に対する費用補助を行う『住宅等開発磁気探査支援事業』など、事故を未然に防ぐための事業も行われています。

2024年度には住宅地建設の磁気探査補助や市町村への支援など、国庫を含め27億2,700万円の事業費が県予算として計上されています。

不発弾を発見したら?

見つけたら触れずに通報

不発弾を発見した場合は触れずに、陸上であれば警察(110番)、海の場合は海上保安本部(118番)へ通報してください。その後現場確認の後、状況に応じて自衛隊の隊員による処理が行われます。

爆発の危険性がない場合などは、その場で県が管理する保管庫へ運びそこで一時的に管理します。

爆発の可能性がある場合や被害が出る可能性がある場合は、災害対策基本法に基づき周辺を封鎖し撤去・場合によっては爆破処理を行います。

沖縄県民であれば日常の出来事ではありますが、沖縄を訪れている観光客が戸惑う様子は度々目にする光景です。

また、集積した不発弾は定期的に民間の業者に委託し、適宜処理しています。

戦後処理の終わりまで

不発弾海中処理の様子

処理が完了するまでに70年

沖縄県内に眠る不発弾は未だ1,878トンと推定され、その処理には70年以上かかると言われています。

2009年の糸満市を最後に大きな事故は起きていませんが、国際通りの建設中のホテルの土地から不発弾が出て来たり、幹線道路沿いで発見されたために大規模な通行止めを行う必要が出たりと、住民生活に影響が出ているのは変わりません。

修学旅行生が不発弾を飛行機で持ち帰ろうとした、という事件も起きています。

不発弾は「安全装置の外れた、いつ爆発してもおかしくないもの」.

不発弾に対する正しい知識を身に着けて絶対に近付かない!を守ってください!!

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