2020年のおきなわ観光を振り返る

2020年のおきなわ観光

激動の2020年

新型コロナウイルスに始まり、1年中振り回された年となった2020年。沖縄だけではなく日本、世界全体で日常の生活の様子が変わってしまいました。

マスクをして人との距離を空ける。施設に入る時には手指を消毒し常に窓を開ける。飲食店では人数を減らし極力会話を減らす。テレワークという言葉も良く耳にするようになりましたね。

外出を控える動きもあり、飲食店を中心に売り上げは落ち込み、旅行に出かける人も極端に減ってしまいます。沖縄の経済は観光に大きく依存していて、最も影響を受けた都道府県と言えるのではないでしょうか。

入域観光客数は東日本大震災以来の減少に転じ、その下げ幅は過去最大。ホテル、観光地、土産品店だけでなく、関連する多くの企業に影響が及びます。

2020年の沖縄県の観光の様子について見ていきたいと思います。

2020年の動き

不穏な始まり

2020年が始まるとともに世界中に不穏なニュースが流れ始めました。

「中国で新型ウイルスによる感染症が広がっている」

この話を聞いた当初、SARSや2009年の新型インフルエンザを思い出し、多少影響は出るだろうが時間が経てば忘れられていくものだと思っていました。実際身の回りでも気にしている人もほとんどいませんでしたし、中国からの外国人観光客ともマスク無しで普段通り接していました。

ところが中国では想像以上にウイルスが猛威をふるい、2月には集団感染が発生したクルーズ船が沖縄に寄港していたとの情報が入りました。企業によっては勤務中のマスク着用を指示するところも出てきて、これまでの感染症に対する動きとは少し違うかな?と肌で感じ始めます。この頃から外国人観光客の減少は顕著になりました

3月に入ると首都圏を中心に感染者情報が増えはじめ、同時に国内からの観光客も減少を始めます。当時の客層は若い方、卒業旅行が多く見られ、それ以外の観光旅行はかなり少なくなっていきます。

史上初の緊急事態宣言発令

4月7日に緊急事態宣言が発表され、4月16日には沖縄県もその対象地域に指定。5月14日に解除されるものの、5月、6月はほとんど売り上げのたたない時期が続きました。今シャッターの降りている店舗はこの頃から閉めているところが多く、恐らく雇用調整助成金などの支援が終わるまで営業をしない方向で考えているのではないかと思います。

夏には少しずつ旅行者が戻り、売上も平年の2,3割程度まで回復。更にGoToトラベル事業による客単価の上昇もあり、わずかながら売り上げも戻り始めます。

一方で、2か月以上抑え込んでいたコロナウイルスですが徐々に広がりを見せ、再度、県独自の緊急事態宣言を発令する事態になります。当時はマスクをしない、手指の消毒に協力的でない人も比較的多く、そういった部分から今より感染症対策に対する意識が低かったというのも影響していると考えています。

この頃から大手チェーン飲食店が基幹店を除き、相次いで撤退を決め貸店舗の看板が目立つようになります。

GoTOトラベル再スタート

第2波も落ち着きを取り戻し再び経済へと舵を切り、10月には東京都がGoToトラベル事業の対象地域に加入。11月には地域共通クーポンの影響もあり、2020年一番の賑わいを見せます

地域共通クーポンが始まると消費マインドも高まり、お土産を買う予定のなかった人がお菓子や雑貨を買い、元々買う予定のあった人はいつもより多めに買い、という好循環でこの機になって国際通りも人通りが増え始めます。

さらに修学旅行も少ないながら見られるようになり、4月の緊急事態宣言後に大量に廃棄が出て生産を抑えていた各社メーカーも一気に増産をかけます。

賑わいが増えるとどうしても各所で“密”や、深夜までの“会食”が多く見られるようになり、12月の感染者増加へと繋がります。

土壇場の緊急事態宣言

通年、年末年始は多くの人が沖縄で過ごすため、オフシーズンではありますが忙しいタイミングとなります。そこで各所このタイミングに狙いを定めて仕掛けを作ります。

土産品店もその例外ではなく年末年始、メーカー各社はお休みとなるので土産品店ではその9割の稼働を元に発注をかける。。。するとGoToトラベルが停止となり、9割あったホテル予約の半数以上がキャンセル。

再度大量の廃棄が出る事態に。緊急事態宣言の話がもう数日早く出ていれば赤字幅が大幅に抑えられていたという各所の話は、国の方へ伝わっているのでしょうか?

海外観光客の動向

2020年の海外からの来沖観光客の動向を見てみると、日韓関係の悪化による韓国からの訪日の減少により年始は若干の影響を受けます。

2月以降は新型コロナウイルス感染症の影響で旅行の自粛やクルーズ船寄港のキャンセルが相次ぎ、入国制限措置が取られてた4月以降は皆減となりました。

沖縄を訪れる外国人観光客のうち7割は、中国、香港、台湾の各地域から来沖する人々であり、年始早々影響が顕著に現れました。最終的に2020年の来沖外国人観光客の人数は前年比-91.2%となる256,900人となります。

国内観光客の動向

国内観光客に目を向けると、感染症拡大の様子が出始めた3月から減少に転じ、緊急事態宣言が発令された5月には5万人を割り込むまでに。その後回復の兆しを見せるも、8月、12月と緊急事態宣言が発令されるなど、予断を許さない状況が続いています。

また、昨年までの旅行パターンと異なり、観光地を巡り飲食店で舌鼓を打ちお土産を買って帰るというパターンが減り、リゾート地や海岸近くのホテルでゆっくり過ごすという人が増え、観光客数の割りに消費額の回復が伴っていない印象があります。また、旅行に行ったことをあまり知られたくないとの思いからお土産を買い控える動きも見られました。

消費額についての統計はまだ発表されていないので、厳密な分析を行うことが出来ませんが、肌感覚としてそういう印象があるというコトです。

国内観光客に関しては対前年比-51.9%となる3,479,700人。過去最大の減少です。

2021年の見通し

OCVB(沖縄観光コンベンションビューロー)によると、2021年は700万人の観光客の来沖があると見込んでいるようです。沖縄の潜在力を考えるとそれだけの可能性があるとのことですが、どうでしょうか。

年明け早々沖縄でも感染の拡大がみられ、過去最大の危機を迎えています。県外でも緊急事態宣言により、GoToトラベルの再開の見通しも立たない状況。

ある程度落ち着きを取り戻せば人々の活動が戻ってくるので、少なくとも昨年並みの水準の入域観光客数は見込めると思います。最もにぎわった11月で38万人という数字ですので、単純に年換算456万人。国民皆が感染症対策の肝をわかってきた今、ある程度気を付けながら以前の日常に近い生活を送ることが出来るようになってくるのではないでしょうか。

3月までは今の自粛ムードも続きそうなので、新年度4月以降にどれだけ抑え込めるか。そこに成功できれば、今年こそ大型連休や夏休みを沖縄で過ごすことも出来るようになると思います。

まだまだ以前のような日常に戻るには時間がかかるかもしれませんが、過度に恐れず、しかししっかり対策。もう少し頑張りましょう。

沖縄でお目にかかれる日をお待ちしています!