外国製でも琉球ガラス?琉球ガラスの歴史と製法と注意点。

琉球ガラスについて

実は明確な定義が無い。

沖縄を代表する工芸品として多くの人に親しまれている琉球ガラス。今ではお土産としても人気が高く、土産品店には必ずと言っていいほど並ぶ商品です。

沖縄でのガラス作りは明治時代に始まったと言われていますが、大きく発展を遂げたのは意外と最近で戦争が終わってからの事。

沖縄の歴史と共に歩んできたとあって、日本やアメリカの影響を受けた独特の質感を持ったガラスへと育ってきました。

今回はその歴史や成り立ちについて調査!

また、実際に購入する際に気を付けたい点についても確認します!

琉球ガラスとは?

琉球ガラスとは?

鮮やかで見た目だけでも楽しむことが出来る琉球ガラス。

県内各地で製造が行われていて、県民の生活とも密接に関わってきました。

各家庭や地元の居酒屋でもよく使われていて、特に泡盛との組み合わせや、夏場の冷たいお茶との組み合わせがとても相性が良いです。

やはり地元のものが、その土地の良さを引き立てるようです。

一般的に琉球ガラスは、①県内の工房で、②昔ながらの製法で作っていることを条件としていますが、実は厳密な定義は存在しません。

したがって国外で作られているグラスも琉球ガラスと呼ぶ人もいれば、県内で作られた物しか認められないと主張する人もいるのが現状です。

琉球ガラスの起源

沖縄の古い文献に県内でのガラスに関する記述があり、1600年頃にはガラス製品が使われていたと考えられています。

当時は主に日本から輸入したものを使っていましたが、輸送技術が未発達だったことあり運搬中に破損することが頻繁に発生していました。

そこで明治時代になると長崎や大阪から職人を呼んで、那覇市内に工場を建設し県内で製造が行われるようになります。これが琉球ガラスの起源です。

この時作っていたのはランプのホヤやお菓子を入れる瓶など、食器というより生活雑貨・小物入れといった用途のものが多く作られていました。

戦後復興と琉球ガラスの最盛

戦禍により多くを焼失。琉球ガラスの製造においても例外ではありませんでした。

製造を再開した当初は原料が手に入りにくく、職人たちは駐琉アメリカ軍から出てくるコーラやビールの廃瓶に目をつけます。これを戦前同様ガレットや水差し、オブジェへと職人が加工していました。

この時作られた商品がアメリカ軍関係者の目に留まり、次第に職人さんにオーダーメイドの注文も入るなど人気が高まっていきます。昭和中期の琉球ガラスの8割は、アメリカ人への販売だったと言われています。

廃瓶を使ったガラス製品は落ち着いた色合いで、青や赤といった鮮やかな色が使われるようになったのは比較的最近のこと。また、丸みを帯びた重みのある質感が特徴とされていました。

転機は沖縄海洋博覧会

1975年の沖縄海洋博覧会が沖縄の観光地としてのイメージを確立させたイベントとして有名ですが、琉球ガラスが転機を迎えたのもこの頃。

海洋博を機に沖縄を訪れる日本人が増え、ガラス職人たちは日本人に受け入れられる商品開発に励みます。ここで本格的にグラスや器といった食器類が製作されるようになってきました。

日本人にも琉球ガラスが受け入れられた結果、現在のような伝統工芸品としての立場を確立してきたのです。

琉球ガラスが出来るまで

琉球ガラスの原料

琉球ガラスの製造は昔ながらの廃瓶を活用する製法と、原料を調合するところから始める製法があります。

ガラスの主原料は珪砂(SiO2).更にソーダ灰や石灰を混ぜ合わせて素材が完成。

赤や青といった着色には金属を用い、原料にマンガンや銅・コバルトなどを加えたり、熱加減によって色を変化させていくのです。

廃瓶を活用したグラスは落ち着いた色合いにふっくらとしたフォルムに仕上がるものが多く、原料調合によって作成したグラスには鮮やかでシャープな形状をしたものが多くあります。

それぞれに特徴があり、工房によっても様々な違いがあるので比べてみるのも面白いですよ!

製造工程

ガラス工房の様子を見たことがある方も多いと思いますが、坩堝(るつぼ)と呼ばれる壺に入る原料から吹き竿に元玉を巻き形を整えていきます。

この坩堝は1,000℃を超え凄く暑い場所。夏場は外気の熱さも相まってサウナのような環境での作業。

吹き竿に取った元玉を形を整える方法が、型吹きによる方法と宙吹きによる2タイプです。

型吹きとは、吹き竿に取った原料を金属や石膏で出来た型を使って形を整えていく方法で、均一に整える場合やより複雑な形状を作るときに多い製法。

宙吹きは、吹き竿に息を送って膨らませて形を整えていく方法で、ガラスが冷えてしまう前に手早く仕上げる必要があり、より難易度が高いと言われています。

宙吹きは短時間で仕上げてしまうため、一つひとつの形や重さに変化が出やすいのもこの製法の特徴。一つひとつ形、色合いが違ってくる面白さもここから生まれます。

気泡について

本来ガラス製品に気泡が入ると不良品として扱われることも多いのですが、再生ガラスを作る以上どうしても気泡が入りやすい。

それを逆手にとって気泡をデザインとして作ったところ、かえって味があって良いと評価され、現在では泡入りの琉球ガラスも多数販売されています。

今では原料に重曹を用いて故意に泡を発生させ、様々なパターンの模様が生まれました。

経済産業省『伝統的工芸品』について

経済産業省『伝統的工芸品』について

1998年、琉球ガラスは「伝統工芸品」として沖縄県に認定されました。

県指定の伝統工芸品は1974年に指定された久米島紬をはじめ、壺屋焼や琉球漆器など26種類が指定されています。

一方、経済産業省が指定する国の「伝統的工芸品」には指定されておらず、一番の要因が「原則100年以上の歴史を有すること」という指定要件

琉球ガラスは100年以上前から製造が行われていたとみられていますが、当時使われていた実物が出土しない為この要件を満たすことが出来ないでいるのです。

しかし時間の経過とともにこの要件を満たすことが出来るとも考えられるので、しっかりと伝統を受け継ぎつつ琉球ガラスの魅力を広めていきたいところです。

購入の際に気を付けたいこと。

購入の際に気を付けたいこと

現在、スーパーや雑貨店、土産品店など多くの店舗で琉球ガラスの販売が行われています。県内の工房で造られたものから外国で作られるもの、様々な種類の商品で溢れています。

どちらにも長所・短所があり、どちらが良くてどちらが悪いと言う訳ではありません。県内で製造された琉球ガラスは職人さんの確かな技術と、地場製造というブランドがあります

一方で、外国で製造されたものはほとんどが職人の指導のもと作られたものではありますが、県産品に比べ安くで手に入りやすいというメリットがあります。

ある程度の知識がある方にはどこで作られたものか、見た目でおおよその判断はつくことも多いのですが、やはり初見ではなかなか判断がつかないと思います。

店舗によっては県内で作られたものと、外国で造られたものが同じように並んでいることもあり、買い手にとっては間違えやすい状況があることも事実。

どちらを選ぶかは買う人が決めることなので、販売者は正しい情報を正しく伝える必要がありますし、これから購入しようと考えている人は、是非そのあたりを確認してから選ぶようにしてください。

何度も言います。県内産も外国産もどちらも良いのです。

以上、琉球ガラスのあれこれでした。

※当サイト調べによるものです。