国が認定『伝統的工芸品』
伝統的工芸品とは??
日本には古くから伝わる工芸品が各地に存在しています。
なかでも備前焼、江戸切子、輪島塗、南部鉄器など、法律に基づき経済産業大臣が指定する工芸品が「伝統的工芸品」と呼ばれています。
2023年11月時点で241品目が指定されており、その数も少しずつではありますが増加しています。
また、伝統的工芸品として認められるには次のような5つの要件が求められます。
●主として日常生活の用に供されるもの
●その製法家庭の主要部分が手工業的
●伝統的な技術又は技法により製造されるもの
●伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるもの
●一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、又はその製造に従事しているもの
これらの条件をクリアして初めて、国に認められた伝統的工芸品となります。
沖縄の伝統的工芸品事情
沖縄は全国3位!
伝統的工芸品は現在241品目が登録されており、ジャンルは織物・陶磁器・金工品・和紙・仏壇仏具etc…と様々。
登録数が最も多いのが東京都で18品目。2022年に3品目が追加され全国1位となりました。
江戸切子をはじめ、江戸木版画、江戸べっ甲など有名な工芸品が並びます。
2位には17品目の京都府。
西陣織、京扇子、京焼・京清水とこちらも全国的に有名な工芸品ばかり。
そして沖縄は全国3位の16品目が登録されています。
沖縄の伝統的工芸品リスト
沖縄県からは全16品目が登録されています。
その中でも最も古いものが1975年に指定・登録された久米島紬と宮古上布。逆に最も新しいのが2018年の三線。
この中からいくつかにスポットを当てて、沖縄の伝統的工芸品について見ていきたいと思います。
業種 | 品目 | 指定年月日 |
---|---|---|
織物 | 久米島紬 | 1975年2月17日 |
織物 | 宮古上布 | 1975年2月17日 |
織物 | 読谷山花織 | 1976年6月2日 |
織物 | 読谷ミンサー | 1976年6月2日 |
陶磁器 | 壺屋焼 | 1976年6月2日 |
織物 | 琉球絣 | 1983年4月27日 |
織物 | 首里織 | 1983年4月27日 |
染織物 | 琉球びんがた | 1984年5月31日 |
業種 | 品目 | 指定年月日 |
---|---|---|
漆器 | 琉球漆器 | 1986年3月12日 |
織物 | 与那国織 | 1987年4月18日 |
織物 | 喜如嘉の芭蕉布 | 1988年6月9日 |
織物 | 八重山ミンサー | 1989年4月11日 |
織物 | 八重山上布 | 1989年4月11日 |
織物 | 知花花織 | 2012年7月25日 |
織物 | 南風原花織 | 2017年1月26日 |
その他工芸品 | 三線 | 2018年1月7日 |
琉球ガラスは伝統的工芸品に該当しない
ここまで見てお気付きの方もいるかもしれませんが、琉球ガラスは登録されていません。
理由はいくつか言われていますが、一番有力なのが歴史の部分。
伝統的工芸品として認められるには「相応の期間使われてきた」と確認される必要があり、その期間はおよそ100年と言われています。
琉球ガラス自体には100年以上の歴史があると言われていますが、戦争の影響もあるのか当時使用されていた現物がなかなか出土してきません。
その為に伝統的工芸品として認められないという現実があるようです。
織物
喜如嘉の芭蕉布
芭蕉布は大宜味村で続いてきたモノづくりで、バナナの仲間でもある糸芭蕉から採れる繊細な糸を使う織物。
薄くて軽くてやや硬い質感が特徴で、肌にまとわりつかない生地として知られています。
その特徴故、沖縄の高温多湿な環境では重宝されてきました。
琉球王朝時代には王族がその着物を身に付け、高級品として中国や日本へに献上品としても用いられました。
その後戦争によって途絶えかけた芭蕉布を再興したのが、人間国宝「平良敏子」さん。
伝統の継承と新しい挑戦を繰り返し、芭蕉布の名前を世界へと広めたのです。
八重山ミンサー
八重山で織られていたミンサーは、綿(ミン)の狭い帯(サー)が語源とも言われかつては女性から男性に贈る布だったと言われています。
八重山ミンサーのデザインにはそれぞれ意味があり、5つと4つの絣模様は「いつの世までも末永く幸せに」、帯の端は百足の足のように「足繁く通ってください」との気持ちが込められているのです。
通い婚の時代を反映した、文化とともに成立した工芸品なのですね。
首里織
首里織は名前からもわかるように、首里の王族、士族が来ていた格式高い着物で色・柄・模様とその多彩さが最大の特徴です。
花織、ロートン織といった織技法、首里絣と呼ばれるデザインなど、究極まで追及された様々な技法を駆使して作られる生地はまさに高貴な着物です。
染織品
琉球びんがた
14世紀~15世紀頃に成立したとされる琉球びんがたは、中国・インド等との交易から得られた技術を基に誕生しました。
びんがたの製作は型を作る所から。
模様を彩る型彫りを行い、顔料と天然染料の両方を使って色差しを行っていきます。
その後に細かいぼかしなどを入れ、最後に生地全体の色を作り上げていきます。
琉球びんがたには複数の種類があり、そのひとつが紅型。
琉球びんがたと音は同じですが、紅は色を表し、型は様々な模様のことを表していると言われています。
同じく藍や墨で染められた紅型を藍型(イェーガタ)、型紙を使用しないものを筒書きを呼んでいます。
漆器
琉球漆器
琉球漆器は14世紀頃中国から伝わったとされ、後に交易の際の献上品として力を入れて製作されたと考えられています。
また政治との結びつきとも強く、祭祀や儀式などでは食器や装飾品として使用されていました。
琉球漆器には県木であるデイゴやシタマキ、センダンといった木材が使用されることが多く、用途によって使い分けられています。
その他の工芸品
三線
意外と最近登録されたのが三線ですが、琉球王朝時代にその原型が持ち込まれ宮廷楽器として発展。
以降庶民へと広く普及し、現在では組踊・歌劇・民謡・近代音楽など様々な場面で使用されるようになりました。
以上、沖縄の伝統的工芸品についてまとめてみました。
※当サイト調べによる情報です。