クースという泡盛は無い件
クースは商品名ではありません!
観光客の方が訪れるお店でよく見られる光景、『クースありますか?』という質問。
話を伺うとクースという銘柄を探していたり、クースという酒造所を探している方もいらっしゃいます。
初めにお断りしておくと、クースという泡盛はありません!
今回はそんな誤解を解くために、少し解説していきたいと思います。
そもそも泡盛はこんなお酒
酒税法上、泡盛は焼酎の一種に分類されていて、米を原料に全麹仕込みで作られています。細かい違いはありますが焼酎の仲間なのです。
また黒麹を使う点も泡盛の特徴で、これも泡盛らしい重厚な風味を作る要因となっています。
@全麹仕込み
焼酎は通常、複数に分けて原料を加えていきますが、泡盛の場合主原料全てをそのままお酒として育てます。
沖縄の気候が大きく関わっているのですが、主原料をそのまま育てることで原料の風味がはっきりと表現されるのです。これにより泡盛の重厚かつ濃厚な味わいが作られます。
泡盛の製造方法や定義について、詳しくは下の記事よりご確認ください。
泡盛を熟成させる
泡盛は熟成させる期間の長さによって2種類の呼び方があります。
製造から3年未満のものを一般酒と呼び、3年経過したものを古酒(こしゅ・クース)と呼びます。皆がクースと呼んでいるのはこの3年以上寝かせた泡盛の事を言っているのです。
つまり、銘柄でも酒造所でもなく、一つの分類のコト。
@クースの特徴
これは飽くまで一般論ですが、基本的に泡盛は寝かせる年数が長いほどまろやかになり味の深みが出ると言われています。更に、その方法によってもかなり個性が出てきます。
@熟成方法
最もポピュラーなタンクでの貯蔵の場合、シンプルなクセの少ない味として育つことが多く、飲みやすい泡盛へと熟成されていきます。
有名な甕仕込みではより深く熟成するだけではなく、泡盛らしい芳醇な香りや深い味わいに熟成していきます。
また、近年増えてきた樽熟成では洋酒のようなまろやかで華やかな口当たりの泡盛へと育っていきます。
貯蔵方法によって変わる泡盛の仕組みについて、詳しくは下の記事をご確認ください。
@クース=良い酒 とは限らない
これも一般論にはなりますが、手をかけて熟成させた泡盛は味の深みが増し口当たりもまろやかになることから良いお酒と言われることも多いです。
しかし、一般酒(熟成3年未満)ならではのパンチの効いたお酒や、若さの残るお酒と相性の良い人がいるのも事実。
料理にも味付けによって好みが変わるように、泡盛も人それぞれ好みに合わせて相性が変わってくるのです。
だから、古酒が旨い!という人もいれば、出来たての新しい香りがする泡盛が好き!という人もいて、古酒が向いているかどうかはその人によって違うということ。
泡盛を尋ねるときのポイント
ここまで散々お話ししてきたのである程度お察しの事と思いますが、泡盛を尋ねるときに「クースありますか?」なんて尋ね方はしないでください。
泡盛を販売しているところであれば、ほとんど古酒の扱いもあります。
絶対にクースが欲しいのであれば「こういう味わいのクースが欲しい」とお伝えした方が、より目的に合ったお買い物が出来るかと思います。
またクースにこだわるのではなく、自分が楽しみたい味、贈り物として相手の好みに合った泡盛を選びたいときには、クースという括りも一度取っ払ってしまった方が良いです。
結果としてクースのなかから選ぶということはよくあることですが、入口から絞ってしまうと貴重な出会いのきっかけを失うことになってしまいます。。。
それではこの辺で(@^^)/~~~